家庭教師としての喜び
学生時代のアルバイトはもっぱら,家庭教師だった。教育系の大学だったので,まあ,てっとり早いバイトである。
計何人もの小・中学生の家庭教師をした。印象的というか記憶に残っている子がいる。
彼は6年生。
お母さんのお話では,かなり成績が低い,という。学力不振児という感じであった。けっこう賢そうな顔つきなのだが,なるほど算数の出来はよろしくない。その上,ひどく人見知りで問われたことには何とか答えるのだが,会話は続かない。教えているこっちもなんだか気が重くなるのだった。しかし,私が行く日を嫌がっているふうではない。2時間,しっかり勉強はする。
そんな子であったが,数ヶ月後,見せてくれる学校のテストの点がちょっとずつ上がって来たのだった。こうなるとやる気がお互いに増す。
あい変わらず,寡黙な子には変わらないがそれでもちょっと会話が成立してきた。
こちらの都合で1年位でこの子との縁は切れたが,何人かの「教え子」の中でけっこう印象深い子だ。
成績が少しずつでも上がると,こちらのモチベーションも違う。家庭教師としての喜び,それは教え子の成長(成績)もあるが,少し明るくなってくれたという事実,彼の人間形成に一時期に関わった,という充実感もあったのだと思う。